一人暮らしの新入生はカレーを作るな

満開の桜も、今日の豪雨でかなり少なくなってきた今日この頃だが、タイトルの記事をネットで読んで30年近く前の事を思い出した。
小学生から中学生へ上がる時は、同じ町内だったので同級生は全く変わらず、エスカレーター式みたいな感じで淡々と上がっていった。
中学から高校は校区も広がり、見知らぬ同級生との接触があったが好奇心旺盛な年頃、心の壁も薄かったこともあってか、すんなり溶け込めた気がする。
高校から大学へはそれはそれは大きな変化だった。
学校環境はもとより、生まれてこれまで疎ましいと思おうがどうだろうが家族との関わり無しに生活が成り立たなかったものが、一変して「咳をしても一人」状態になってしまったのだ。
大学の入学式前後は、下手をすると誰とも話をすること無しに一日が終わってしまうということもあり、人は一人で居ることがこれほど堪えるものだとは思わなかった。
「一人暮らしの新入生はカレーを作るな」という記事を読んいて、その主旨とは異なるが、その昔、六畳二間トイレ付の下宿でカセットコンロを使って一人、晩御飯を作っている時の寂しさを思い出した。あの時の寂しさって、本当に一人を実感することの出来る機会だったんだなあ。
とは言っても、特殊な学科だったから学生数も限られていたし、皆いい人ばかりだったので、学年が上になっていくにつれ、同級生が家族みたいな感覚になっていた。
おいらの下宿は大学から離れていたが繁華街からは近く、下宿には鍵もかからないので、パチンコなんかをして帰ると、誰かしら下宿に来ていて明かりが点いている、なんていうことも多々あったし、そういう時の明かりは「家族」という感覚に通じるものがあった。今だと携帯で直ぐに連絡取ったりするので、そういう「待つ」「待たれてる」という感覚も希薄になってきているかもしれないが。

時々無性に大学生の頃が懐かしく思い出されることがある。かといって、もう一度大学生からやり直そう、などとは思わないのだが、それでも無性に懐かしいのが今は無き、あの賑やかだった六畳二間の部屋だ。