エイ

連休二日目で、長男が退屈そうなので奥さんにどこか連れて行けと言われて釣りをしにいくことにした。
前にも釣りに行ったことはあるが、小学五年生の長男はゴカイを自分で付けることが出来ない。エサ付けなんて親父が息子に接待するのも面倒なので、いいだこを釣りに行くことにした。これなら、疑似餌を遠投するだけなので面倒が少ない。
港の右側の突端が空いていたので、ポジション的にはまあまあ。ただ、10月半ばぐらいにならないといいだこの季節では無いので、釣れるかと言われれば微妙。
自分の竿を早々に遠投して息子のほうをみると、早速糸を絡ませている。
見えにくい老眼の目で糸を解いて、投げ方のコツと投げた後の対応をレクチャーして、自分で投げた竿を息子に渡した。
で、自分の竿を持って軽くひいてみると、重っっ。
いきなり地球を釣ったのかと、がっかりしつつ、なんとか地球から疑似餌を回収できないかと、ぐっと竿を引いていくと、意外なことに重々しく地球が動いた。
え?
なにこれ?
更に力を入れて竿を立てると、やっぱり引いている感じがする。
これは地球ではない。と、その時になってやっと理解した。が、何がかかっているのかは全く分からない。とにかく竿を立ててリールを巻いていたら、急に軽くなった。
ばらしてしまった、と思ったその時、遠くの水面に見慣れない魚が跳ねるのが見えた。
見慣れないといっても、この辺でというだけで、黄金伝説とかのテレビ番組では見たことがある形。
エイだった。
この辺でエイが釣れるっていうのは、全く聞いたことが無いが、あれは間違いなくエイだった。
まあ、一生に一度あるかないかの体験が思いがけず出来た。
地球温暖化が進めば、エイが釣れるのも珍しくなくなるのかもしれないだろうが。